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うぃずおん神話学講義

wizardryonlineの中の架空の大陸、アザルス大陸に伝わる架空の神話や伝承やこぼれ話を切った張ったする、ミスカトニック大学神話歴史学学生の小ブログ。
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はじまりの「神話」⑪6の楔「白銀の魔鏡」

あなたの欲しいものはなあに?

女の子なら当然、かわいいアバターをアイテムクローク一杯に集めたいところね。

わたしも普段はミスカトニック大学分校の図書館にこもっているか、神話や伝説を今につたえる冒険地を巡ってばっかりだけれど、たまにはおしゃれして土曜市でお買い物を楽しみたいときもあるわ。

出かける前には必ず姿見で自分の服装を確認してから出かけるわよね。

いいえ、一日中起きて寝るまでに一体何度わたし達は鏡を覗くことでしょう。

鏡の中に、わたし達は「美」を見ているのかもしれない。

今回はネ、鏡のお話なの。

そうそう、異世界の伝承の中には魔女が唱える決まり文句にこんな一説もあったわね。

「鏡よ鏡よ鏡さん。この世で一番美しいのは、だあれ?」

さて、それではさっそく今日も神話を紐解いていきましょうか。

拍手[9回]



神話⑩
「神龍リィン・リーアンは殺されるとき、体中に10の楔を打ち込まれた。

六つめの楔は、右足に打ち込まれた。

白銀に輝くその魔鏡は、偽りの欲望をかなえた。それによって

神龍リィン・リーアンは鏡に映らなくなってしまった。」



六つ目の楔は『白銀の魔境』と呼ばれるわ。

覗き込む者の最も欲しいものが映り、そして必ず手に入る鏡だとか。

とっても魅力的な鏡よね。でもその願いのかない方が最悪なの。

絶対に願いがかなうけれど、それは鏡に映った虚像の世界の事なので決して思い通りにはならないの。

たとえば、うーん。そうね。

「アリア川のおいしい水」を飲みたいと思ったとするでしょう?

そうすると「アリア川に沈められてしまう」とかね。

「ディメント定食」が食べたい!とおもったら「絶対に食べれない材質でできたディメント定食」が目の前に現れるとか。

え?なんで唐突に食べ物の話かって?

ええっと。わたしはやっぱり色気より何とやらで、綺麗なアバターを集めるよりおいしいお料理が食べたいからかしら。

わき道にそれてしまったわね。こほん。今日はちょっと難しい話だから少しリラックスさせようと食べ物の話をしたのよ。

それで、そうそう、鏡よ鏡の話。

こんな魔鏡まっぴらごめんよね?この魔鏡によって神龍は鏡に姿が映らなくなってしまった、と言われているわ。

いままでわたし達は神龍に打ち込まれた楔を5つ見てきた。「楔」のどれもが、神龍の本質を封じたマジックアイテムだったという話は何度もしたわね。

ここで封じられている神龍の本質は、他の本質と同様に聖なる、そしてどれも重要なもなのだけれど、明らかに他の本質とは様相を異にしているわ。

なぜなら、それが「鏡」であらわされるものだからよ。

「鏡」はそもそも鏡自体ではそんなに価値がないものだわ。もちろん、鏡に使われているガラスや銀や額の価値はあるでしょう。でも鏡が映しだす本当の美しさは鏡自身のものではないの。

わたし達は鏡がなければ美しいドレスを着たとしてもそれを見ることができないわ。

わたし達がわたし達を見るためには、必ず鏡を使わなければ無理よね?

でもわたし達は光の反射・・・大いなるアヴルールのもたらした光が跳ね返った像を見ているのよ。つまりは「虚像」だわ。

そして別にこれは鏡に限らないことなの。この世のあらゆるものを見た時、わたし達が「色」をあらゆるものの中に認識するとき、それは光を見ているの。そのものに跳ね返った光を見ているということなの。

もし光自身、光源を見ても、普通眩しくてこの世のことは何もわからない。わたし達が見ているものはすべからく「鏡」のように光が反射したものを見ていることになるわ。

だから、この第六の楔が封じた神龍の本質は、神龍の中で最も中央に近い、そうね、言い換えれば元素「RIN~色」が色として認識されるにはどう働いているか、という中心原理そのものなの。

難しい話が続くわね。でもわたしも微力ながら頑張ってこの記事に取り掛かるわ。

ダークゾーンの話をしましょうか。

ダークゾーンは暗闇ね。わたし達がその中を進むとき、松明かもしくはトーチライトの魔法を使うわよね?

でも直接光源をみても、ただただ眩しいだけでダンジョンの周囲の事はわからないんじゃなくて?

わたし達は何かを認識しようとするとき、それは何者かに跳ね返った光を見ることになる。

鏡とはこの原理そのものよ。

ある意味ではわたし達が了解可能な像というのはすべて「鏡に映った虚像」ということも言えるわ。でもそれは聖なる虚像なの。だって光源そのものを見たって何もわかりはしないんですもの。(おお、おおいなるアヴルールの御身が見えざるはこのことが故なり)

じつはね、鏡に似た楔についてはもう一つわたし達は見てきているわ。

ここでもう一度第一の楔で封じられたものの話をしましょうか。

第一の楔が封じたのは神龍の「名前」だった。

でもそれは普通の意味の名前じゃない。神龍の「真言(トゥルーワード)」がもたらすとてつもない力を持つ名前よ。

そしてそれは「名前を食らうもの」という創滅を司る双子の魚にあらわされるアイテムで封じられていたわね?

この双子は相争う双子よ。双子というのは、二人の事ととらえると間違いやすいわ。
双子はその本質的には一体の中で行われる対になった働きなの。だから双子はふつう一対でありながらお互いを補完し合う関係なのだけれど、この向き合う魚の置物は相手を食らいあっている。

あらゆる楔は神龍の本質に沿った表現になっているの。

ところで魚はふつう水の底のいて、その姿をうかがい知ることは容易ではないわ。

ただ「水鏡」のように水面が凪ぎ、静かな時だけ、その奥に潜む深淵に潜む「一体でありながら一対の双子の魚」を覗くことができるの。

水面は内部に深みを持った見通す鏡であり「白銀の」鏡はあらゆるものを像として反射する鏡よ。今ここに二枚の鏡が並んだことになるわ。

二つの異なる鏡を通じて、わたし達は1から「多」を映し出すことができるの。

けれど映し出された像は虚像。悲しいことだけれど、鏡に映しても映したものは増えたわけではない、ディメント定食を鏡に映しても手元にあるのは1食分(しかもお腹が減って食べたらなくなるわ)というのは誰もが知っていることよね。

そうそう、むかーし魂の世界で読んだ劇画に、出来損ないの錬金術師の男の子の部屋に、文机の中のワームホールを通じて異世界から来た青い狸風ドラ…ゴン型デーモンが、あるとき「ふえるミラー」というマジックアイテムでいろんな鏡に映ったものを増やす、という面白いお話が合ったわね。

そうよ、鏡はうつったものを虚像でいくらでも増やすことができるわ。まさに「多」の性質を持っているの。

ひいてはすべてのものが光の「反射」で目に映っているのならわたし達が目にする世界は「虚像」でしかないと言えるかもしれないわね。

まあそうしなければならないからアヴルールがそう世界を御創りになったんでしょうけど、このおかげでわたし達は強烈な光ではなく、柔らかで万色に彩られた「虚像」を見ることができるようになった、と言えるかもしれないわね。

色、とは鏡の反射によって初めて認識されるもの。いわば「色」の元素から生まれた神龍は鏡の原理とは切っても切れない関係があるわ。

均衡が神龍の大本質であるなら、鏡の原理であらわされるこの「第六の楔」で封じられた本質は神龍自体の均衡の中心をなす重要な原理だったはず。神龍にとっても大きな痛手だったでしょうね。

光は像を結ばないと目に映るようにならない。像を結ぶことを「焦点が合った」ともいうわ。焦点を失った光の束はどうなるかしら?

黄龍の神殿の碑文には「そして神龍は鏡に姿がうつらなくなった」とあるわよね。これは神龍の魔法的力の焦点が失われた、ということなの。

色によって作られた均衡は循環に美を与えた。色は絶対神AZですらご満足なされる最高の美の完成、つまり焦点だったわね。

人は鏡の中に美、という神の御威光の顕現を見るのよ。

かがみよ、かがみよ、かがみさん。このよでもっともうつくしいのは、だあれ?

アヴルールの子らよ、鏡に己の虚飾を映そうとしてはなりません。鏡とは真実を虚像の中で語るもの。虚像であるという犠牲によって、わたし達は己の姿を見ることができるのです。

あなたはすべてを映す鏡であり、そして鏡の中にわたし達はもっとも偉大なるよく名を知った神を見ることになるでしょう。

アヴルールの御名に調和あれ。あなたとわたしが美しいものを見れますように。

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ミスカトニック大学アザルス大陸分校で神秘歴史学を専攻している学生です。アザルス大陸に伝わる様々な伝承や神話を紹介・解説していきます。
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