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うぃずおん神話学講義

wizardryonlineの中の架空の大陸、アザルス大陸に伝わる架空の神話や伝承やこぼれ話を切った張ったする、ミスカトニック大学神話歴史学学生の小ブログ。
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はじまりの「神話」⑩4の楔「妖しき夢の筆」5の楔「夢見る者の本」

冒険者諸兄の皆さんは書き物は好きかしら?

冒険者諸兄のなかにはぶろがあとして人気のある記事をたくさん書いてらっしゃる方も多いわね。わたしも時々ほかの冒険者諸兄の書いた日記を読ませていただいているわ。

ところで最近はアカシックレコード端末での「書き物」が一般的だけど、たまには直接筆記具で文字を書いてみるのもいいことよ。

上等な筆記具でも使って書き物をすれば自然に筆が乗ることも多いわ。

そうね「タイプが乗る」という言い方は情緒がないわね。わたし達にとってまだ筆と紙の方が「書く」という行為においてはなじみが深い証拠ね。

さて、それではさっそく今日も神話を紐解いていきましょうか。

拍手[3回]



神話⑨
「 神龍リィン・リーアンは殺されるとき、体中に10の楔を打ち込まれた。

 4つ目の楔は右腕に打ち込まれた。

妖しきその魔筆は、偽りの言葉を書いた。それによって

神龍リィン・リーアンは筆を持てなくなった。


5つ目の楔は左足に打ち込まれた。

その夢幻の本は偽りの夢をかなえた。

それによって神龍リィン・リーアンは夢を奪われた。」




今日は一度に二つの楔のお話をするわね。

なぜならこの二つの楔、四つ目の楔「妖しき夢の筆」と五つ目の楔「夢見る者の本」は二つとも書いたことが本当になる性質を持っているけれども、二つ対になっているアイテムでどちらが欠けても意味を失うと言われているわ。

書く、ということはどういうことかしら。

あなたの頭の中にどんな素晴らしいお話があったとしても、あるいは絵があったとしても、それがなにかに書かれなければそれは現実のものとしてこの世に産み落とされることはないわ。

そうね、書かれるまでそれは「夢」であるといってもいいかもしれない。あるいは言葉になるまでそれは現実のものではない、幻想でしかない。

書き記されない思考は、幻想は飛んで行ってしまうものよ。筆と本は漂う夢幻を有限の形に表して機能させるためのマジックアイテムなの。「夢見る者の本」は夢幻の本とも。夢幻とはムゲン、∞なものは現実の世界では扱えないわ。

書かれる前の言葉、これは筆を持つ者にしかわからないわ。おおいなるアヴルールの愛や慈悲の心はそれを授けられたものの心に夢や幻想としてしかわからない。それは愛や慈悲を受けたものが抱くありがとう、という言葉になる前の感情に似ているわね。

そして書かれた後の言葉、本に書き記されて万人が読めるようになったこの時、言葉は力を持つ。ありがとう、と口に出した時アヴルールの愛の御業は力を発揮して完成すると言っていいかもしれないわね。(おお、慈悲深きアヴルールに感謝するはこれが故なり)
 
二つの楔のことを記した黄龍の碑文には偽りの言葉と偽りの夢を与えられた神龍は、筆を持てなくなり、夢を奪われたとあるわ。

さて、この二つの楔が対になっているというのはこれから書くようなことなの。

筆が筆として機能するためには、筆を通して文字なり絵なりが書き記される必要がある。

また本が本として価値を持つためにはそれに何事かが書き記されていなければ意味がないわよね。何も書かれていない本はただのパピュルスの束の価値しかないのだから。

言い換えれば筆はその本来の力を発揮するためには、本を通すしかない。本の場合は、筆によって何かを書き記される必要がある。このことはお互いがお互いの力を利用する必要があるといううことを示しているわ。

もちろん、筆は筆として価値がある。でも本来の力を果たすためには力を正しく映してくれる『鏡』のような対になった他者が必要なの。

まさに「どちらが欠けても意味を失う」ということよね。

そして実はこのことは筆と本に限らないのよ。

神龍の封じられた二つ目の「本質」を思い出してみて?それは『邪聖の角』に象徴される「進む力」だった、と言ったわね。三つ目の楔が封じた「本質」は『内なる矛盾』という名の水瓶、つまり「受け止める力」だといったわね?

進んだものは受け止められるまでは正しく機能しない。逆に言えば水瓶はその内に受け取るものを、進む力は受け止められる先を必要としているわ。

ここで神龍がこの世界の均衡の担い手、「天秤」と言われることがあったのをもう一度思い出してほしいの。

天秤には二つの皿があるわよね。つまりこの2番目の楔と3番目の楔、そしてこの4番目の楔と5番目の楔はそれぞれ天秤の左右二つの皿のように対になっているということなの。

天秤が真に均衡を示すためには対になる二つの力がお互いのために作用しなければならないということね。

神話歴史学の世界ではこれが、神龍、いえ大いなるアヴルールが神龍を通してこの世にお示しになられた「均衡」という大魔法の正体だと言われているわ。すべてのものは他者との調和と相互作用の中で、その本質を機能させるの。

4の楔と5の楔はどちらも「夢」にかかわる魔法の武器よ。

「夢」はすべてが生起する偉大な源泉であり、わたし達の想像力の根幹だわ。創造と想像が似ているというお話を昔したわね。

夢を奪われることは、神龍の中の「創造する力」が奪われたということ。筆と本は想像したものを書くための道具ですから、さもありなんね。

さて、今回はここまで。なかなか難しいお話になってしまってごめんなさいね。難しいことを簡単に説明するのが、本当にすばらしい文章だとどこかで聞いたことがあるわ。

その基準からするとわたしもまだまだということね。これからも浅学菲才の身だけれど、できるだけ筆に磨きをかけて頑張ることにするわね。

そうして今回も読んでくださってありがとう。わたしも思ったことをちゃんと書き記せないとね。

アヴルールの御名を讃えます。あなたとわたしがよい夢を書き記せますように。

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ミスカトニック大学アザルス大陸分校で神秘歴史学を専攻している学生です。アザルス大陸に伝わる様々な伝承や神話を紹介・解説していきます。
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